第2章 葬儀が終わってから

領収書の保管

  葬儀は、短期間で多額のお金が動きます。日常生活では、支出の都度、明細を付けることができますが、葬儀は慌ただしく事が進むため、明細を細かく付けておくことは難しいです。
 

しかし、葬儀費用のうち、一定のものは、相続税計算のために必要ですので、領収書、明細を取っておきて下さい。

・葬儀費・・・・・・葬儀社の請求書、明細書
・僧侶への布施・・・・・・寺院によって領収書をくれる場合もあるし、くれない場合もあります。
 くれない場合は、無理に領収書をもらわなくてもいいです。布施の金額をメモしておけばいいです。

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年金・給付金のまとめ

 年金の制度は、少々、複雑です。そこで下の表にまとめてみました。どの年金を受けられるかは、(1)死亡した人がどの年金保険者でだったか、(2)遺族は誰と誰で、年齢はいくつかで、決まってきます。

  例えば、死亡した人が国民年金被保険者で、妻と子(18才未満)であれば、遺族基礎年金になります。死亡した人が厚生年金に加入していて、妻と子(18才未満)であれば、遺族基礎年金+遺族厚生年金を受けられます。 

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厚生年金の手続き

先に、国民年金加入者が亡くなった場合を見ました。では、さらに多くのサラリーマンが加入している厚生年金を見てみましょう。

【遺族厚生年金】
1.受給要件
 次のいずれかに該当している人が亡くなったときに支給されます。
 (1)厚生年金保険に加入中に亡くなったとき
 (2)厚生年金保険加入中の傷病で、初診日から5年以内に亡くなったとき
 (3)1級または2級の障害厚生年金を受給している人が亡くなったとき
 (4)老齢厚生年金を受ける権利のある人が亡くなったとき

2.遺族の範囲
 死亡当時、亡くなった人によって生計を維持されていた次の遺族が対象となります。
   1. 妻
   2. 18歳の年度末までの子か20歳で1・2級の障害のある子で婚姻していない子
   3. 55歳以上の夫
   4. 55歳以上の父母
   5. 18歳の年度末までの孫か20歳未満で1・2級の障害のある孫で婚姻していない孫
   6. 55歳以上の祖父母
      また、受給の順位は配偶者と子、父母、孫、祖父母の順となります。

3.支給金額
   夫が将来もらえる予定だった老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に相当する額です。  

4.手続き
  社会保険事務所に申請書を提出します。手続に必要なものは、厚生年金手帳、死亡診断書、除籍謄本、住民票、印鑑などです。

 故人が死亡してから5年以内に手続きが必要です。

・中高齢寡婦加算
 子供のいない妻や子が18歳になると、遺族基礎年金は支給されません。そこで、遺族基礎年金をもらえない妻のために設けられたのが、遺族厚生年金の「中高齢寡婦加算」です。
 支給対象は、夫の死亡時に40歳以上で子供のいない妻、あるいは、遺族基礎年金が打ち切られる時点で40歳以上の妻です。
 支給期間は、妻が40歳になってから、自分の老齢基礎年金を受給できる65歳になるまでの間です。金額は年59万4,200円です。

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 会社員の夫をもつB子さん(32歳)。5歳と3歳のお子さんがいます。
 B子さんがもらえる遺族年金は一体どのように変化していくのでしょうか?
お子さんが高校を卒業すると、遺族基礎年金は打ち切りになり、遺族厚生年金+中高齢寡婦加算が支給されます。
 妻が65歳に達したとき、中高齢寡婦加算は打ち切りとなりますが、自分自身の老齢基礎年金が受けられます。

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国民年金の手続き

    家計の大黒柱に万が一のことがあった際に支給される遺族年金。基本的に死亡時の加入制度が国民年金なら「遺族基礎年金」が、厚生年金なら「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を受け取ることになります。

【遺族基礎年金】(国民年金)

1.受給要件
 次のいずれかに該当している人が亡くなったときに支給されます。
 (1)国民年金に加入中の人
 (2)加入をやめた後でも60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる人
 (3)老齢基礎年金を受けている人
 (4)老齢基礎年金の受給資格期間(25年)を満たしている人

 ただし、(1)(2)の人は一定の保険料納付要件を満たしていなければなりません。
 ●死亡日の属する月の前々月までの全加入期間のうち、保険料を3分の2以上納めていること(免除期間、学生納付特例期間を含む)
 ●死亡日が平成28年4月1日前にあるときは、死亡日の前々月までの1年間に保険料の滞納がないこと

2.遺族の範囲
 亡くなった人によって生計を維持されていた子のある妻、または子が受けられます。
 ※子とは、18歳になる年度の末日までの間にある子、または20歳未満で1・2級の障害の状態にある子をいいます。
 
3.遺族基礎年金の年金額
(1)妻が受ける年金の額
  基本額に子の加算額を加えた額です。
  基本額 792,100円(平成20年度年金額)
  子の加算額は、1人目と2人目の子はそれぞれ227,900円、3人目以降は1人につき75,900円です。

(2)子が受ける年金の額
   受給権のある子が1人のときは基本額、また子が2人以上のときは基本額に2人目以降の子の数に応じた加算額を加え、受給権のある子の数で割った額が1人あたりの額となります。

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4.遺族基礎年金が受けられないとき
 遺族年金の受給資格を満たさないと、全く、お金をもらえないかというと、そうではありません。
 

次のような制度もあるので、役所の国民年金課に問い合わせてください。

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5.手続き
  社会保険事務所に申請書を提出します。手続に必要なものは、国民年金手帳、死亡診断書、除籍謄本、住民票、印鑑などです。

 故人が死亡してから5年以内に手続きが必要です。

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高額療養費

 長期入院後死亡した場合、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。

 ただし、保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。 

 被保険者、被扶養者ともに1人1か月の自己負担限度額は所得に応じて、次の計算式により算出されます。

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  高額療養費の請求は、医療費の領収書のコピー、印鑑、健康保険証を持参して、役所の窓口に行きます。その後の手続は係が教えてくれます。


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生命保険金の受取り

 故人が生命保険に加入していれば、生命保険の請求を生命保険会社に請求します。生命保険会社に電話で請求すれば、支払請求のための必要書類を送ってくれます。ただ、生命保険会社は請求人による支払請求がなければ、生命保険金は支払われないので注意しましょう。

 必要書類は各保険会社により異なるので、一概には言えませんが、次のケースが多いです。
・申請書
・生命保険証
・生命保険会社所定の死亡診断書(先の死亡診断書ではダメなことがある)
・住民除票
・印鑑証明書
・契約時の印鑑
・戸籍謄本(故人の誕生から死亡までのもの)

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 保険金は次のように、被保険者が誰かでかかる税が異なります。死亡保険金を請求する際、生命保険会社へ保険証を提出しますが、その前に保険証をコピーしておくと、後日の税務申告の時に役立ちます。

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銀行預金の凍結

【公共料金の支払い】
 多くの家庭で、公共料金の自動引き落とし等で銀行・信用金庫など、金融機関を使っています。金融機関は、預金者の死亡を知った時点から、預金口座を停止する義務があるので、口座は凍結されます。というのは、故人の預貯金は死亡の時から遺産として相続の対象となるからです。 
  相続を初めて経験すると、金融機関で預金が凍結され、公共料金の支払いができないという経験をすることがあります。このようなことがないように、電気・ガス・水道・電話については、関連する営業所に早めに連絡しておきしょう。

【葬儀費用の支払い】
 葬儀後、2~3週間すると、葬儀社が請求書を持ってきます。この時、金融機関で口座が凍結されていると、葬儀社への支払いができない事態が生じます。葬儀の請求は100万円を越えることが多いですが、防犯対策上、自宅に100万円置いてある所は少ないです。
 しかし、この場合にも方法があります。金融機関は預金を凍結した後でも、葬儀費用については150万円まで引き出しに応じてくれます。金融機関によって必要な書類が異なるので、金融機関に問い合わせて下さい。

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葬祭費等の請求

 親族が亡くなり葬儀が終わると健康保険から埋葬料、生命保険金の請求、遺族年金の請求等、お金の受け取りに関することもします。

 大部分の人が、国民健康保険か健康保険(政府管掌健康保険、健康保険組合、共済組合など)に加入しています。葬儀をあげれば、国民健康保険または健康保険から、葬儀費の一部として葬祭費(国民健康保険の場合、自治体により「葬祭の給付」ともいう)、埋葬料(健康保険の場合)を支給してくれます。

【葬祭費】
 葬祭費は各自治体が支給するもので、3万から7万円の間で市町村により差があります。この手続は役所の国民健康保険課で行います。

 葬祭料の申請は、事前に役所の戸籍課に死亡届けが出されていることが前提ですが、葬祭費の請求は葬儀が終わってからのことが多いので、この前提は大部分の人が充足しています。
 なお、葬祭費は申告制なので、うっかり忘れないようにしましょう。もし、忘れていても、死後2年以内に申請すればいいので、そうあわてることもありません。

【埋葬料】
 埋葬料は健康保険が支給します。この埋葬料は標準報酬月額の1ヶ月分と決まっています。これは、大体、給料の1ヶ月分です。この手続は勤務先が加入している健康保険組合か社会保険事務所で行います。
  なお、埋葬料は申告制なので、うっかり忘れないようにしましょう。もし、忘れていても、死後2年以内に申請すればいいので、そうあわてることもありません。

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印鑑証明書等の必要書類

 役所や税務署で相続の手続をすると、住民票や印鑑証明書が必要になります。ここで、主な必要書類を示しておきましょう。

【印鑑証明書】
一般に実印と呼ばれるものです。相続では、実印が必要な場合が多いです。嫁いだ親族が実印を作っていなくて、不動産登記できないというケースもあるので、相続時には実印登録をしておきましょう。

 これは次のとき必要になります。
・不動産の名義変更するとき
・株券、債券の名義変更するとき
・銀行預金、郵便貯金の名義変更するとき
・自動車の名義変更するとき
・遺産分割協議書を作成するとき

【住民票】
 これは次のとき必要になります。
・遺族年金をもらうとき
・健康保険、国民健康保険から葬祭費をもらうとき
・不動産、自動車の名義変更するとき

【戸籍謄本】
 戸籍に登録されている全員のものです。相続で戸籍謄本を取る場合、(1)現在の戸籍だけでいいのか、(2)故人が誕生してから現在に至るまで全部とるのか、必要書類が異なります。
 戸籍謄本を普通に取ると、役所の戸籍係は(1)を作成してくれます。(2)については、説明が要ります。亡くなった人(既婚者)の旧姓は田中で、旧本籍は愛知県豊田市で、東京都台東区に嫁いだため、結婚後、佐藤に改姓し、本籍地は東京都台東区になったとします。誕生してから死亡するまでの戸籍をとってくれと言われた場合、この人の場合、結婚するまでの戸籍謄本を愛知県豊田市で取り(郵送してもらいます)及び結婚後の戸籍謄本を東京都台東区でとります(出向きます)。
 相続では(2)の故人が誕生してから現在に至るまで全部とることがあるので、提出先がどちらを要求しているのか、よく聞いてください。

 戸籍謄本は次のとき必要になります。
・相続税を申告するとき
・遺族年金をもらうとき
・郵便局の簡易保険を受け取るとき
・電話、不動産の名義を変更するとき
・健康保険、国民健康保険から葬祭費をもらうとき

【戸籍抄本】
 戸籍に登録されている人のうち、特定の人だけを写したもの。

 これは次のとき必要になります。
・生命保険の死亡保険金を受け取るとき

 

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葬儀後2週間をめどに

葬儀後2週間というと、遺族は職場・学校等に復帰していますが、悲しみは全然癒えていません。そのような中でも、葬儀後する各種手続があります。

 

(故人の年金停止)

国民年金や厚生年金をもらっている人が亡くなると、この人の年金は停止になります。そのために、遺族は死後14日以内に役所か社会保険事務所へ行って、年金証書を添えて死亡届(失権届)や未支給請求書を提出します。

よく、この手続を忘れていることがありますが、後日、この手続が漏れていれば、本人の死後受け取った全ての金額を返還しければいけません。

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(保険証、免許証の返還)

 故人が健康保険証、自動車免許証、パスポート、クレジットカード、各種会員カード等を保有している場合、該当箇所へ返還する必要があります。クレジットカード、各種会員カードは、毎月会費が発生するものなので、手続が遅れると、会費が発生するので早めに停止しましょう。

 

健康保険証、自動車免許証、パスポートなどは、役所、警察等になりますが、死亡診断書・戸籍謄本・戸籍抄本等が必要になることもあるので、事前に何が必要なのか電話で聞いておきましょう。

 

死亡診断書・戸籍謄本・戸籍抄本は、提出先ごとに必要なものなので、結果的に何枚も用意することになります。

そこで、提出先・必要枚数を書いた次のような表を用意するといいでしょう。Image01


公共料金の名義変更)

 故人の死亡後は葬儀などで何かと忙しいとは思いますが、公共料金の引き落としの名義が故人である場合は、できるだけ早く名義変更を行いましょう。

電気、ガス、水道
各支払通知書の連絡先に電話で申し出る。

電話
NTT窓口で「加入承継・改称届書」を申し込む。死亡診断書、戸籍謄本、印鑑等が必要になります

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葬儀後直ぐに

 葬儀後直ぐにすることがあります。それは、事務引継ぎとあいさつです。


(事務引継ぎ)

 葬儀も一段落したところで、喪主は世話役の人から事務の引き継ぎを受けます。
 世話役から引き継ぐのは、会葬者名簿、供物や香典の控え、弔電や弔文のつづり、会計の精算、立替金の返済などです。 

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(あいさつ)

葬儀委員長をはじめ、故人の恩人や近所には、会葬礼状だけなく、直接あいさつに伺います。葬儀直後の挨拶回りには、なるべく喪服を着用します。23日後の場合は、地味な平服で挨拶に伺う方が自然です。
 このあいさつは、次のようなものでいいでしょう。

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  このあいさつは、昔から二人で回る習慣がありますが、最近では喪主が一人で出向くことも多くなっています。また、喪主が疲れている場合は、親族の誰かが代わっても失礼ではありません。

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葬儀が終わると

 親族が亡くなっても親戚・縁者・知人が、通夜・葬儀に駆けつけ、何かとバタバタしています。
 このような状態から「親族が亡くなった気がしない」と言う人もいます。これも特段、異常な現象ではないようです。

 しかし、葬儀が終わると、お見舞いに訪れる人も減り、寂しさを実感するようになるようです。本当に寂しく感じる時期は、このときなのかもしれません。

 葬儀後に49日法要、1周忌法要と、法要が続き、年数が経ち、悲しみが癒えていくのが普通ですので、時間をかけて、心の平安を保つようしましょう。  

 

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